温泉旅館に泊まると朝早く起きることが多い。朝風呂に入るためだ。
特に、最近では二つ以上の風呂を備え、
夜と朝とで別の風呂に入れるようになっているからなおさらだ(^_^)。
普段は1秒でも長く寝ていようとするのに、ゆっくりしても問題ない旅先で、
早起きできるのは不思議なものだ。
リラックスしているから、逆に早起きができるのかも知れない。
妻娘はまだ、ぐっすり眠っているようだ。起こさないように気を付けながら、 準備をして風呂に向かった。
琴音の湯は、まあ普通のお風呂である。
匠の湯と対比させて石造りのイメージにしているのは、1泊目の大町と同様ということか。
温泉なのでタイルが滑りやすくなっている。
夕べと比べて入浴している人は少ない。
ぼうっと外の景色を眺めながら今日の予定を頭に思い浮かべる。
雨は降っていない。無事にトロッコ電車に乗れそうだ。
露天風呂の方に行ってみることにした。
枠は自然石だがそれ以外はタイルっぽい石材が使われている。
これもまた普通の露天風呂だ。
朝の空気が気持ちが良い。湯につかっていると、眠気がしだいに覚めてきた。
30分以上つかっていただろうか。体も十分に温まり、部屋に帰ることにする。
部屋に戻っても、妻子はまだ眠っている。私と違って普段はあまり外に出ないから、
疲れているのだろう。起こさないようにしてテレビをつける。
朝のテレビはやはりBSだろう。ニュースから朝ドラマ。「あぐり」が始まるころ、
そろそろ目を覚ましたようだ。
もうすぐ食事の時間だ。
朝食も部屋でとる。動き回らなくて良いのは楽ちんだけど、 ふとんの片づけがあったりして、ちょっと段取りが違う。まあそれも良しか。
喜泉の朝食は普通の朝食。普通に食べた。
トロッコ電車の駅までは、昨日乗ってきたマイクロバスで送ってくれる。
泊まっている人数の割には、バスに乗る人は少ない。
我が家以外に2グループのようである。団体さんは、貸し切りバスで移動するようだ。
さて、昨日通ってきた道を再び通って、富山地方鉄道の宇奈月温泉駅に向かう。 駅までは5分。せっかく宇奈月まで来たのに、街を歩かなかったなあと、ふと思う。
コインロッカーに荷物を入れて、黒部峡谷鉄道の駅まで歩こうとすると、
目の前に先ほど送ってくれたバスが、そちらまで行くからと送ってくれた。
5分ほどで歩けるとはいえ、子連れの一行にはありがたいことだ。
出発の10分前には無事に到着した。
乗る電車は9:21発。事前に予約して代金を振り込んでいるのだが、
窓口で乗車車両の指定を受ける必要がある。
一番安く、そして人気の高い普通車両である。
改札口に並び、発車時間の5分前位から、ホームに入場した。
いよいよトロッコ列車の発車だ。
出発前の短い時間を利用して、何枚か写真を撮る。レンズ付きフィルム、
デジタルカメラ、デジタルビデオと撮影器材だけはいっぱい持っているので、
撮影だけでも忙しい。
家族4人が乗り込んだのは、普通車両の前側。1車両に20人くらいが乗車する。
団体旅行の一行は、別車両にすし詰めである。4人がけ×10列としても40人。
乗車密度を考えただけでぞっとする。団体の添乗員さんはうちの車両に乗っている。
単なる配車の都合だろうが、なんとなくほっとしていらっしゃるようだ。
さて、駅を出発してすぐに、山彦橋をわたる。
パンフレットやガイドブックに必ずと言っていいほど載っている赤い鉄橋だ。
川床からの高さは40mあって、
列車の渡る音が山彦になって聞こえることが命名の由来らしい。
電車は黒部川に沿って進んでいく。柳橋駅をこえて森石駅の手前に、仏石が見える。
石仏に似た天然の岩は、それらしく見える。鉄道開通前はここに茶屋があり、
入山者が安全祈願をしていたらしい。
森石谷を越えて、まもなく黒薙駅である。
黒薙駅は、黒薙温泉の最寄り駅である。この電車はなぜかここには営業停車しない。
駅を過ぎてすぐ後曳橋を渡る。
鉄道沿線で最も狭く深い谷であり、絵葉書などにもよく使われているようだ。
鉄道開通前に入山者が、谷の縁に立ち、
あまりの深さに思わず後へ引き下がったことからこのように呼ばれる。
電車から景色を眺めていても深さにぞっとするようだ。
笹平から出平にかけては、線路に沿って冬期歩道が見える。
電車の運行していない冬の間、この歩道を歩いてダムの保全に向かう人々が歩く道だ。
厳しい自然を感じさせる施設である。
猫又駅の手前に、黒部川第二発電所が見える。
その向こうには、ねずみ返しの岸壁と呼ばれる直立している。
あまりの急な岸壁でネズミすらも登れずに引き返したと言われている。
見るからにネズミが引き返しそうな急峻な壁となっていた。
トンネルと橋を抜けると鐘釣駅である。
鐘釣駅は、鐘釣温泉旅館の最寄り駅である。
駅から徒歩5分のところにある温泉からは、
百貫山から降った雪が雪崩となって堆積した万年雪が見えると、
パンフレットに書かれている。
車内でも「駅を出てすぐ右手に万年雪が見えます」と放送があった。
ビデオを構え臨戦体勢に。
駅を出てすぐの所から見えるのだが、それも一瞬で、
その積もりで見ていないと見逃すので要注意。案の定、妻と娘らは見逃したようだ。
帰ってからビデオで確認すればいいか。
とはいえ、見て感激というほどのこともないので、期待しないように(^_^)(^_^)。
鐘釣駅を出ると20分で欅平駅に着く。トロッコ電車での旅もここまでだ。
途中にある小屋平ダムからは先程の第2発電所まで導水されているようだ。
いくつものダムと発電所が有機的に結合して、うまく資源を活用しているといえよう。
欅平は宇奈月から20.1km、1時間強の所用時間となっている、黒部峡谷鉄道の終着駅である。
欅平駅のホームは、それまでの駅の小ささが嘘みたいに長い。
11両編成の列車が到着するのだから、当たり前といえば当たり前なのだけれど。
夏休みはもっと長い編成の列車が到着するのだろう。
長いホームで団体旅行の人並みにもまれながら、出口へと進んでいった。
徳はといえば、一緒の車両に乗っていたどこかの団体の添乗員さんにさよならを言っている。
大人に対しては物怖じせずに仲良くなってしまうので、
旅行してても世話がかからないので楽だなと思う。
萌がもう少し大きくなったどうだろうと思いながら、私もさよならを言った。
改札を出た所は広場になっていて、欅平の景色を見渡すことができる。
早速、記念写真を撮ったりするが、
雄大な景色は画面からはみ出てしまって、
雰囲気が出ない。自分の目で見て感じる方がやはり素晴らしい。
記念撮影をしている間、妻と娘は「案内所」と書いてあるところのベンチに腰掛けていた。
案内の係りの人と間違えたらしい観光客に声をかけられたらしい。
普通に考えたら、子連れの案内係りなんておかしいのだけれど、
それをおかしいと考えないのは、団体旅行の人だったからだろうか。
後で話を聞いて大笑いした。
帰りの電車までは2時間10分。欅平を散策するとしよう。
橋の上から黒部川を見下ろすと、青く透き通った水に吸い寄せられるような。。って、 別に飛び降りたくはならないけど(^_^);;
橋を渡って祖母谷に向かうとすぐ、道が岸壁を大きくえぐり取っている。
怪物が大きく口を開けて、往来している人を飲み込む形相にもしていることから、
人喰岩の名がついたらしい。
人喰岩の所から、
先ほど渡った奥鐘橋を撮影する。
橋のちょうど向こうには、黒部峡谷鉄道の駅が見えた。
今回の旅行の計画で一つ気になっていたのは、3泊目をどうするかであった。
最終的に宇奈月温泉に泊まることにしたのだが、ここ欅平にそそられる宿があった。
トロッコの駅から徒歩10分と書いてあるその宿が名剣温泉である。
ガイドブックでは良く分からなかったのだが、 こちらに来てから入手したパンフレットを見ると、人喰岩のちょっと先だ。 せっかくだから外からでも見てやろうと、足を延ばすことにした。
すぐそこの気持ちで歩いていたが、それらしい建物が見えてこない。
道は二股に分かれ、一方はトンネルに、もう一方は黒部川の支流の祖母谷に沿っている。
トンネルを歩くのは断念して、川沿いの道を歩いていく。
もう舗装はされていない道だから、歩くのも大変だ。
もうそこの角を曲がったところまでと思ったところから、ようやく名剣温泉が見えた。
見えたのでなんとなく安心して、次回はそこに泊まるぞ、 と思いながら駅に引き返すことにした。
お昼にはまだ時間が早い、けれども、お昼時の混むのは嫌だし、
帰りの電車に乗り遅れると大変だ、てな訳で早めの昼食をとることにする。
こういう観光地の食事には期待しないほうが良いが、
それにつけても、ちょっと入ろうかと思うようなところがないのには困ってしまう。
選択の余地はほとんどないので、猿飛山荘という簡易宿泊施設で食べることにする。
メニューには、山女、そば、あとは何があったか、
値段を考えるとこれもまた選択の余地なし。そばを3人前頼んだ。
量も少なくあとでおなかがへるなあと思いながらも、それだけにする。
山女関係は異常に値段が高かった印象が残っているな。
実家の周辺の方が良心的な値段だ。
食べ終わるとそうそうに外に出た、といってもゆっくりと休んだのだけど(^_^);;。
電車の発車までまだ1時間弱。もう少しうろうろすることにする。 猿飛峡までは片道20分位かかるらしいが行ってみよう。
黒部川本流で最も狭く、猿が飛び越えたということからこの名が付いたとのこと。
特別名勝天然記念物に指定されているというから見ない訳にはいかない。
黒部川沿いの遊歩道は舗装がしてあってまずます順調に歩くことができる。
萌を乗せたベビーカーも順調に進む。途中遊歩道がトンネルにもなったりして、
徳も冒険を楽しんでいるようだ。
もう少しで目的地というところで遊歩道は階段となった。
子連れの旅行にはつらい階段攻めだ。
仕方がない、とベビーカーを担いで先へと進んだ。
そして、猿飛峡。
美しい猿飛峡の景色を見てほしい。
実際の風景は写真よりも素晴らしい。
ほんの一部を切り取った景色からはわからないだろうけど、
身体を包み込むような自然の中にいると、すごく落ち着いた気分になる。
徳を連れて川べりの方へ近づいてみる。間違って川に落ちてしまわないように、
手をつないで。
川の水も澄んでいて涼しそうだ。しばらくぼうっと時を過ごした。
時間は12時をまわり、電車の時間が気になってきた。急いでもどろう。
駅に戻る途中で「ダムの放水の警告放送」があった。
電車の時間よりもこっちの方が気になって、さらに足が速くなった。
そんなに急に水位が上がるはずもなく、無事に駅まで到着する。
仮に水位が上がったとしても遊歩道までは来ないとは思うけれども(^_^;;)。
結局駅までは15分で歩けてしまった。
改札に着いたのは発車10分前。子連れにしてはぎりぎりの時間だろう。
列車はまだホームには着いていない。
安心すると同時に、急いだのがちょっともったいない気がしてきた。
お土産なんて買うつもりはないけれど、
時間に追われるだけの旅行になってしまったと。
帰りの車両はリラックス車両。普通車の予約が取れなかったからだが、 どんなのかとちょっと期待しながら電車が入線するのを待っていた。
定刻の5分前に電車が入ってくる。 どうやら欅平からこの車両に乗るのはうちの家族だけらしい。 ちょっと疲れているのでちょうど良いなあとおもいつつ、 実は普通車両の席があったのではないかなと貧乏人の習性がもたげてくる(^_^;;)。
帆かには誰もいないので、 自由にリラックス車両 の写真を撮ることができた。 中央では電車に乗ってご機嫌の徳がおとなしく座っていた。
ここから宇奈月まではほとんど居眠りの我が一行だった。
ゆっくりと疲れを癒せたのはやっぱりこの車両で正解だったということだな(^_^)。
もうあとは帰るのみの旅路となった。
宇奈月での乗り換え時間は20分。この時間で買い物も済まさないといけない。
よちよち歩きの子供を連れているとなると、綱渡りの乗り換えとも言える(^_^;;)。
まあ、朝に大体の目星はつけてある。
職場へのちょっとしたお菓子と帰りの電車で食べる鱒の鮓を買えばそれで良し(^_^)。
まずは富山地方鉄道の駅へと急ぐ。
萌をだっこして、妻と徳は手をつないで、小走りに移動する。
ほぼ見積もり通りの時間で朝荷物を入れたコインロッカーまでたどり着いた。
時間がないので、私が荷物を出している間に、妻が買い物をする。
会社にはおまんじゅう系のお菓子、知り合いにもちょっとしたお菓子を買う。
もちろん、鱒の鮓を忘れない。ビールも買ったけど、ロング缶1本。
そろそろ電車も乗り込んでもいい頃だ。ホームへと向かった。
サンダーバード宇奈月は、夏のシーズンだけ宇奈月まで延長して運転している臨時列車だ。
通常は富山発のサンダーバード6号である。
宇奈月の帰りは、途中乗り換えなしに大阪まで行ける、この列車が便利だ。
そのためにちょっとあわただしい乗り換えとなった。
ホームにはすでに電車は入線していた。指定席2両、自由席1両の3両編成である。
北陸線を走っているような9両編成だと地鉄の設備では運転できないのだろう。
指定席は9号車の7番AB。在来線の狭い席に親子4人が座ることになる。
旅費を浮かす作戦のためやむをえない(^_^;;)。
定刻に宇奈月駅を出発し、昨日のコースを寺田まで逆に辿る。
外の景色には目もくれず、鱒の鮓の時間である(^_^)。
学生時代に何度か金沢に来ている私は来るたびに食べているけれども、
妻は初めて食べるらしい。
子供たちも旅空のもとでは食欲旺盛で、あっという間にたいらげてしまった。
こんなことなら、もう一つ買っておけばよかった。
ビールも1本では物足りない。
電車に乗るときに、デッキにビールの自動販売機があるのを思い出しながら、
どうしようかと考えていた。
妻の方がもう少し飲みたかったらしく、席を立ってビールを買ってきた。
冷えてなかったのがすごいショックだった(^_^;;)。
北陸線に入り、車内販売で鱒の鮓を売っていたので早速購入。 2つめの鮓もあっという間に食べてしまった。 やはり旅に出ると汽車弁をたくさん食べてしまう(^_^;;)。
その後は、旅の疲れも出て家族4人で熟睡状態。気が付いたら電車は湖西線を走っていた。
新大阪からは新幹線に乗り継ぐ。
姫路発のアルペンルート切符には新幹線がルートに入っているからだ。
できるだけ在来線に乗らないようにするというのは家族旅行のコツかもしれない。
こだまの指定席なんて必要ないと思っていたけれども、旅の最終コースには便利だ。
自分たちの席が準備されていて、いちいち並んで席を確保しなくてもいいのは、
疲れている体にはありがたかった。
当然ながら空席が多く、ゆったりと西明石までを過ごした。
西明石駅の長い陸橋で在来線のホームに移ると、日常のラッシュがそこに待っていた。
大きな荷物をかかえた家族4人づれが満員電車に乗り込む姿は、お互い迷惑な話だ。
萌がつぶされないように気をつけながら乗り込み、3駅間の我慢大会。
その時乗り合わせた皆様ごめんなさい(^_^)。
土山の駅からマンションまではタクシーを使う。 非日常の生活から徐々に引き戻されてきた。
マンションの部屋に荷物を運び込んでほっと一息。さっきまで旅をしていたのが嘘のようだ。 でも、なんか安心したのも確か。長い旅は終わった。
今回の旅の計画でインターネットを活用して情報を入手した。 いくつかリンクをあげておこう。
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